私が「介護」を知ったのは姉の病気がきっかけでした。髄芽腫という悪性腫瘍が小脳にできました。当時は姉が高校生、私は小学生でした。幸い予後もよく、他の場所への転移はありませんでしたが、退院して帰ってきた姉は後遺症の辛さで一日中ベッドの中でした。母も毎日泣いていました。

少しずつ少しずつ回復していた姉でしたが、病院での治療中に脊髄を傷つけ歩けなくなり、次第に立てなくなりました。そこから姉の介護が始まりました。私は中学生、姉は二十歳を過ぎた頃でした。家族みんな手探りで、最初は戸惑ったことを覚えています。

家の中に車椅子がやってきて、家の外にはスロープができ、浴室にはシャワー椅子が必要でした。段差のあるところへの移動は介助し、2階へは私や兄が背負って上がりました。姉の生活に必要な事はすべて家族で協力して補い合っていました。

母の負担を少しでも減らしたくて、自分にできる事は何か、手伝えることは率先してやりました。今思うと、介護や介助は私にとってとても身近なもので、ただ、1人では出来ない事に少し手を貸す、そんなイメージでした。

巡り巡って今現在こうして、訪問介護職員として働いています。ご自宅に伺ってご利用者の生活のお手伝いをする。考え方の基本は当時と変わっていないように思います。1人ではできない事に手を貸す。ご利用者が生きてこられた人生の歴史、抱えておられる思いを大切にしながら、お一人おひとりに合わせて今必要なことを臨機応変に福祉サービスとして提供する。そしてそれを日々積み重ねていく。その人がその人らしくいられるお手伝いを、心強い先輩たちと共に試行錯誤しながらチームでできる。

そんな介護が、私は好きです。

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